個人事業から法人へ、公式サイト作り直しの3つのポイント|法人化2年目の経営者が直面する課題と対策
公開:2026年5月10日
「法人化したけど、サイトはどうしたら良いんだろう」 「個人ブランドのサイトのままで、本当に大丈夫かな」 「『会社らしい』サイトって、何を変えれば良いの?」
法人登記を終えて、名刺の肩書きが「代表取締役」に変わった時。多くの方が同じところで足を止めます。事業は続いている、お客様も同じ。でも、看板だけが個人事業主時代のまま、という違和感です。
私たちbasisがHP制作の相談を受ける中でも、法人化2年目の方からの問い合わせが一定数あります。「最初の1年は走り抜けたけど、そろそろサイトが現状に合わなくなってきた」という声です。
この記事では、法人化前後のサイト作り直しについて整理します。タイミング・本質的な違い・3つの実装ポイント・失敗パターンまで、現場で見てきた事例を交えてお伝えします。
専門用語ミニ辞典(読み始める前に)
法人化やサイト制作で出てくる言葉を、先にざっくり整理しておきます。
- 法人化:個人事業主が「株式会社」などの会社を設立して、事業を会社名義に切り替えること
- 個人事業主:会社を作らず、個人の名前で事業をしている方
- 稟議(りんぎ):会社内で「この発注をしてもいいですか」と上司や役員に承認をもらう手続き
- 決裁(けっさい):稟議の最終承認。社長や担当役員が「OK」を出すこと
- RFP(提案依頼書):企業から「こういう条件で提案してください」と送られてくる依頼書のこと
- 被リンク:他のサイトから自分のサイトへ貼られているリンク。多いほどGoogleからの評価が上がりやすい
- ドメイン:サイトの住所にあたる「○○.com」の部分
- 301リダイレクト:古いURLにアクセスがあった時に、新しいURLへ自動で転送する仕組み。検索エンジンの評価も引き継げる
1. 結論:法人化2年目が「サイト作り直し」のベストタイミング
法人化したら、1〜2年以内に公式サイトを作り直すのが現実的な落としどころです。早すぎても遅すぎても、得るものが少なくなります。
法人化直後(〜半年)
事業の方向性が定まりきっていない時期です。メンバー構成も流動的で、これから変わっていく余地が大きい段階です。この時期に本格リニューアルに踏み切ると、半年後には情報が古くなる可能性があります。
→ 個人事業主時代のサイトに、法人名や所在地など最低限の情報を追記して凌ぐのが現実的です。
法人化1〜2年目(推奨タイミング)
事業が安定してきます。提供サービスも固まり、メンバーや外部パートナーの体制も見えてきます。「会社として何を売っているか」を言葉にできる時期です。
→ 本格的にサイトを作り直すベストタイミングです。
法人化3年目以降
サイトのトーンと、現実の組織規模がズレてきます。新規取引先からの信用獲得に支障が出始める段階です。採用面でも、応募者がサイトを見て「個人商店っぽい」と判断して離脱するケースが増えます。
→ 作り直しは「待ったなし」の状態です。
✏️ ポイントまとめ
- 半年以内は最低限の追記で十分
- 1〜2年目が情報整理とリニューアルの最適点
- 3年目を超えるとブランドを傷つけるリスクが高まる
2. 「個人ブランドのサイト」と「会社のサイト」の本質的な違い
リニューアルに着手する前に、まず整理しておきたい点があります。個人と法人では、サイトの「主役」が変わるということです。
個人ブランドサイトの特徴
- 主役は「私」(代表個人)
- 個人の経歴・価値観・ストーリーが中心
- サービスは「私が提供する」スタンス
- 顔写真や個人の文体が前面に出る
会社のサイトの特徴
- 主役は「会社」(組織)
- 会社のビジョン・提供価値が中心
- サービスは「会社が提供する」スタンス
- メンバー・体制・実績が見える
法人化前→法人化後の変化
| 観点 | 個人事業主時代 | 法人化後 |
|---|---|---|
| 求められる印象 | 専門性・人柄・親しみ | 信頼性・継続性・組織力 |
| 主な取引先 | 個人・小規模事業者 | 中堅企業・上場企業の発注担当 |
| 採用観点 | 採用しない前提 | 応募者がサイトで判断する |
| 情報の主語 | 「私は」 | 「私たちは」 |
| 売り方 | スペシャリスト個人 | 組織が提供する価値 |
この違いを理解しないままリニューアルに入ると、どうなるか。「個人事業主のサイトに会社情報を後付けで足しただけ」の中途半端なサイトになりがちです。家にたとえると、看板だけ付け替えて、中身は前のままという状態に近いです。
💡 実例(コンサルティング業) 個人事業主時代は「○○さんに頼みたい」で仕事が回っていた経営コンサルの方。法人化後に上場企業の発注担当からRFP(提案依頼書)を受けるようになり、「個人サイトでは稟議(社内承認)が通らない」と言われてリニューアルに踏み切ったケースがありました。
3. ポイント1:複数サービスを構造化して整理する
個人事業主時代は1〜2のサービスで回っていても、法人化すると3〜5のサービスを並行展開するケースが増えます。
複数サービスでよくある失敗
- 全サービスが1ページに混在し、読み手が迷子になる
- サービスごとの想定する読み手が整理されておらず、誰に向けた説明か分からない
- 既存の人気サービスにページが引っ張られ、新サービスが埋もれる
構造化の3ステップ
① サービスごとに独立したページを作る
各ページで以下を完結させます。basisでもSTARTプラン・SOLOプラン・COREプランと用途別に独立ページを用意しています。参考にご覧ください。
- そのサービスの目的
- 届けたい相手(誰のためか)
- 提供内容
- 料金(または料金感)
- 導入事例
- 申込み・問い合わせ導線
② サービス一覧ページで全体像を見せる
各サービス詳細への入口として、一覧ページを設置します。「うちが何屋なのか」を5秒で把握できる設計が理想です。
③ 届けたい相手別の導線を作る
「経営者の方はこちら」「人事担当者の方はこちら」のように、訪問者の属性ごとに入口を分けます。デパートのフロアガイドのようなイメージです。離脱率(途中で帰ってしまう割合)が下がります。
💡 実例(Web制作・運用代行) サイト制作・記事制作・SNS運用の3サービスを1ページに並べていた法人。サービス別ページに分割した結果、問い合わせの内訳が明確になり、見積精度が上がったという事例があります。
4. ポイント2:実績と事例を「会社の力」として見せる
実績ページは、個人事業主時代と法人化後で役割が大きく変わる部分です。
個人事業主時代の実績ページ
- 「私が手がけた案件」のリスト形式
- 案件名と概要だけの羅列
- 数十件をひたすら並べる
会社の実績ページ
- 「私たちが支援した事例」の事例集形式
- 課題・取り組み・成果を構造化
- 厳選した10〜20件を深掘り
事例ページの構成テンプレート
事例タイトル:(業種)の課題を、こう解決しました
クライアント概要:業種・規模・担当者の役職
課題:3〜5項目で整理
取り組み:時系列で
成果:
- 数字で示せる成果
- 数字にできない変化
クライアントの声:(許諾を得て掲載)
「数より質」の原則
100件のリストより、10〜20件の深掘り事例の方が説得力があります。発注担当者が見ているのは「何件やったか」ではなく、「自社と似た課題を解決した経験があるか」だからです。
💡 実例(人材紹介業) 過去案件300件のロゴを並べていた法人化2年目の人材紹介会社。業界別に厳選した15事例の深掘り記事に切り替えた結果、商談化率が改善したという報告があります。
✏️ ポイントまとめ
- 個人時代は「リスト」、法人後は「事例集」
- 1事例あたり課題・取り組み・成果の3点セット
- ロゴ掲載・社名公開は事前許諾を取る
5. ポイント3:「会社らしさ」を作る3要素を入れる
要素1:ビジョン・代表メッセージ
個人事業主のサイトは「私のストーリー」で十分でした。会社のサイトは「この組織は何を目指しているのか」を語る必要があります。
構成例:
- 私たちが目指す未来(キャッチ)
- なぜこの事業をやっているのか(背景)
- 代表メッセージ(代表の想い)
- 私たちの価値観(行動指針)
- 今後の展望
要素2:メンバー紹介
代表以外のメンバーがサイトに登場すると、組織としての厚みが伝わります。採用活動でも有利に働きます。取引先には「組織として動いている」印象を与えます。
構成のポイント:
- 全メンバー紹介(20人以下なら推奨)
- 顔写真は基本的に必須
- 紹介内容:氏名・役職・経歴・実績・人柄が分かる一言
外部パートナーが多い小規模法人の場合
- 「正社員」と「業務委託パートナー」を分けて紹介
- 「コアチーム」と「拡張チーム」の2層構造
- 「私たちのネットワーク」として外部協力者を紹介
要素3:採用情報・取引先情報
採用情報
法人化後、採用は重要なテーマになります。「現在募集中の職種はありません」というステータスでも、採用ページがあること自体に価値があります。「この会社は人を増やしていくつもりがある」というメッセージになるからです。
取引先情報
過去の取引先ロゴを並べるだけでも、信頼度は上がります。ただし、ロゴ掲載には必ず事前の許諾を取りましょう。「掲載可」「業種のみ可」「不可」の3段階で確認しておくとスムーズです。
6. 法人化後のサイトに「外せない」基本ページ
最低限、以下のページ構成は押さえておきたいところです。
- トップページ:会社の全体像を3秒で伝える
- 会社概要・ビジョン:会社の方向性を示す
- 代表メッセージ:代表の人柄・想いを伝える
- メンバー紹介:組織としての厚みを示す
- サービス一覧:複数サービスの全体像
- サービス詳細(×サービス数):各サービスの深い情報
- 実績・事例:信頼の根拠を示す
- 採用情報:成長性のアピール
- お問い合わせ:取引・相談の入口
- 規約類:プライバシーポリシー・特商法表記など
7. 個人ブランドの「資産」をどう活かすか
法人化したからといって、個人時代に積み上げた資産を捨てる必要はありません。むしろ、活かし方を設計すべきです。
引き継げる資産の例
- 代表個人のSNSフォロワー
- 個人で書いた過去の記事・コンテンツ
- 個人で受けたインタビュー・取材
- 個人名義での登壇歴・受賞歴
活かし方の3パターン
① 完全に置き換えるのではなく、組み込む
代表のSNSや過去のコンテンツを、会社サイトの一部として組み込みます。代表ページから個人SNSにリンクするだけでも、人柄が伝わります。
② 代表のキャラクターを残す
法人化後も、代表のキャラクターはブランドの一部です。「代表の名前 + 会社名」のセットで認知してもらう。すると、個人の信頼と組織の信頼の両方を活用できます。
③ 段階的に組織にシフトする
最初は代表中心のサイトでも構いません。事業の成長に合わせて、メンバー紹介や事例ページの比重を増やしていく。3年計画でのトーン移行を前提に設計すると、無理がありません。
8. リニューアルのタイミングと予算感
リニューアルにかかる期間
- 計画・設計:2〜4週間
- 制作:4〜8週間
- 公開準備・調整:1〜2週間
- 合計:2〜3ヶ月
予算感(リニューアル)
| 依頼先 | 価格帯 | 特徴 |
|---|---|---|
| フリーランス | 30〜80万円 | 担当者と直接やり取り、品質は個人差大 |
| 中小制作会社 | 50〜150万円 | デザイン・進行が安定 |
| 中堅制作会社 | 100〜300万円 | 戦略設計から伴走 |
| プラン固定型サービス | 20〜30万円 | 「料金とできることが先に決まっている」型。打ち合わせ最小 |
近年はプラン固定型・テキスト完結型の制作サービスも登場しています。抑えた予算でも、本格的なサイトが作れる選択肢が増えています。
9. 失敗パターン3つから学ぶ
失敗1:個人サイトに「会社情報」だけ追加して済ます
トップに会社概要を1段落足し、フッターに法人名と住所を入れただけ、というパターン。主語が「私」のままなので、サイト全体のトーンが個人事業主時代から変わりません。
→ 対策:構造から作り直す。少なくとも、トップ・サービス・実績の3ページは主語を「私たち」に書き直します。
失敗2:メンバーの顔出し交渉が後回し
公開直前になって「このメンバー、顔出しNGでした」が発覚するケース。サイト全体のデザインが崩れる事故につながります。
→ 対策:プロジェクト初期に、全メンバーへの説明と許諾を済ませる。NGの場合の代替(イラスト・シルエット・ニックネーム)も同時に決めておきます。
失敗3:ビジョンが曖昧なまま公開
「とりあえずそれっぽい言葉を並べた」ビジョンページは、読み手にすぐ見抜かれます。代表自身が腹落ちしていない言葉は、どれだけデザインを整えても響きません。
→ 対策:サイト制作前に、代表自身がビジョンを言語化する時間を確保する。1〜2日ほど時間を取って、ライターと壁打ちするのも有効です。
✏️ ポイントまとめ
- 構造から作り直さないと「個人サイト+α」で終わる
- メンバー許諾は最初に取る
- ビジョンは公開前に代表自身で言語化する
10. よくある質問(FAQ)
Q1. 法人化してすぐ、新しいサイトを作るべきですか?
A. 半年以内であれば、最低限の情報追記で十分です。事業の方向性とメンバーが固まる1〜2年目に本格リニューアルする方が、結果的にコストパフォーマンスが高くなります。
Q2. 個人時代のドメイン(サイトの住所)は、そのまま使って良いですか?
A. SEO評価や被リンク(他サイトからのリンク)の蓄積を考えると、そのまま使うのが基本です。法人名と異なるドメインでも、トップに法人名を明示すれば問題ありません。どうしても変えたい場合は、301リダイレクト(旧URLから新URLへ自動転送する仕組み)で旧ドメインからの評価を引き継ぎます。
Q3. メンバーが代表1人だけの法人でも、メンバー紹介ページは必要ですか?
A. 必須ではありません。ただ「代表+外部パートナー」の体制を見せると組織感が出ます。「コアチーム1名+専門パートナー数名」という構成でも十分機能します。
Q4. リニューアル中、現サイトはどうしておけば良いですか?
A. 公開したまま並行制作するのが基本です。新サイトは別環境で構築し、公開直前にドメインを切り替えます。リニューアル中に「準備中」ページを出すと、検索からの訪問が止まるので避けたいところです。
Q5. 自分でWordPressやSTUDIOで作るのと、依頼するのはどう違いますか?
A. 個人事業主時代の延長で自作する方も多いです。ただ法人化後は戦略設計とライティングの比重が上がります。誰に・何を・どの順で見せるかの設計が肝心で、ツール選定はその後の話です。設計から伴走できる相手に依頼する方が、結果的に早く・安く仕上がるケースが多いです。制作会社や業者を選ぶ際に確認すべき点は「お見積もりします」と言われた時に確認すべき5つのことも参考になります。
まとめ:法人化はサイトを「会社らしく」する好機
3つのポイントを再確認します。
- 複数サービスを構造化して整理する
- 実績と事例を「会社の力」として見せる
- 「会社らしさ」を作る3要素(ビジョン・メンバー・採用)を入れる
法人化2年目を迎えて、自社サイトに違和感を感じ始めたら、それは作り直しのサインです。事業が次のフェーズに進んでいる証拠でもあります。
こんな方は、basisに相談してみてください
- 法人化したものの、個人事業主時代のサイトのまま放置している
- 複数サービスをサイトで整理しきれず、問い合わせが噛み合わない
- メンバーや事例を「会社の力」として見せる構造に作り直したい
basisは、対面打ち合わせなし・ヒアリングシートとLINEで進める形で、法人化前後の小さな会社の「会社らしいサイト」を整えるHP制作サービスです。まず制作の流れを確認いただき、疑問があればよくある質問へどうぞ。